引き伸ばしプリント[ストレートプリント編]
2004年6月25日作成
いよいよプリント本番です。気に入ったネガを印画紙に引き伸ばして写真の完成です。プリントの仕方はコンタクトプリントの焼き方とほとんど同じです。

簡単に書くと、
・ネガをネガキャリアにセットして
・引き伸ばしたい大きさ(印画紙の大きさ)まで引き伸ばして
・ピントを正確に合わせて
・露光時間はテストプリントを参考に決めて露光
・現像、停止、定着、水洗い、乾燥
・できあがり
となります。

簡単に書くと上のようになりますが、「これじゃぁわからん!」とか言われそうなので、上で書いてない行程も含めて、もう少し詳しく説明します。
引き伸ばすネガを選ぶ
(1)コンタクトプリントなどから、引き伸ばしたい写真(駒)を選択する。
コンタクトプリントは、フィルム全体に何が映っているか一目で見渡せるしフィルムの整理に大いに役立つので、是非作っておきましょう。
(2)ネガをルーペなどで観察し、ピント等をチェックする
ライトボックス(ビュアー)にネガをおいて、4〜10倍程度のルーペを使ってチェックします。ピンぼけのネガは引き伸ばすともっとピンぼけになります。(^^ゞ
(3)ネガの袋に印を付けておく。
ダマートグラフ(写真用の芯の柔らかい色鉛筆)などでネガ袋に印を付けておきます。
暗室の準備
(1)レイアウトを決めて機材を配置
レイアウトについては、簡易暗室を作ろうが参考になると思います。
(2)現像液、停止液、定着液を準備
使用する薬品は、現像液=コレクトールE、停止液=フジ酢酸30ミリリットル/1リットル、定着液=スーパーフジフィックスを前提にご説明します。現像液は20度、停止・定着液は20度前後にします。
(3)暗室を暗くして遮光を確認
部屋を暗くして5分ほど目を慣らしてから周りを見渡して、明かりが漏れている場所を探します。明かりが漏れている場所が見つかったら遮光します。
給湯器のコントローラとかの小さなランプなど見落としがちなので注意してください。
テストプリント(本番露光の時間を決める)
(1)ネガをネガキャリアにセット
・フィルムに指紋がつかないように、できれば手袋をして作業します。
・ネガの乳剤面が下、つるつる面が上です。天地は、手前が天になるようにセットします。
・ネガキャリアにセットしたら、埃などをよくとばしてから引き伸ばし機にセットします。
※小さい埃でもそのまま引き伸ばすと、巨大(?)な白い影になってしまいます。
(2)引き伸ばす大きさに引き伸ばし機のヘッド部分をセット
・引き伸ばしレンズの絞りはどこでも良いですが、開放の方が明るくて作業しやすいです。
・イーゼルマスクを印画紙の大きさにセットして、フォーカス露光します。
・引き伸ばす大きさになるまで引き伸ばし機のヘッドを上に移動させます。
・ピントを調節します。引き伸ばしレンズを本番露光時の絞り(F8.0位)に絞ってフォーカススコープできっちり合わせます。フォーカススコープを使わないときは、絞りを開放にして目でピントを合わせます。ピント合わせが終わったら絞りを本露光用に絞っておきます。
・ピントのあった像が印画紙の大きさ一面に照射されているのを確認します。
・トリムする場合は大きさを合わせてピントを確認しておきます。
(3)テスト露光
ここからは暗室を暗くして、安全光(暗室電球)の下での作業になります。
・印画紙を袋・箱から取り出して、裏表を間違えないようにイーゼルマスクにセットします。
※印画紙は、光沢があるほうが表(感光剤が塗布されている面)です。
・赤フィルタをセットしてフォーカス露光。印画紙の隅々まで像が照射されていることを確認します。
・赤フィルタがかかっているとはいえ長時間光を当てるのは印画紙に良くないので、手早く作業します。
・引き伸ばしタイマーを2秒にセットします。ネガが黒い(写真にすると白くなる)場合は3秒です。
・印画紙を覆いずらしながら6回露光します。
(4)本番露光時間の決定
・現像(90秒)、停止(30秒)、定着(2分30秒)、水洗い(5分)きっちり処理します。
・水洗い中は部屋を明るくしても大丈夫です。
・2秒〜12秒(3秒〜18秒)の露光で6回分、濃度の違う像ができているはずです。濃度を見ながらちょうど良いと思う露光時間を決めてください。
※露光した秒単位プラス・マイナスの秒数は、感でセットします。
本番プリント
(1)露光準備
暗室を暗くして、安全光(暗室電球)の下での作業になります。
・印画紙をイーゼルマスクにセットします。
・赤フィルタをセットしてフォーカス露光し、印画紙全体に像が映っているかと、ピントを再度確認します。
(2)本番露光
・テストプリントで決めた露光時間を引き伸ばしタイマーにセットします。
・赤フィルタがはずれている事を確認して本露光します。露光中は絶対にイーゼルマスク、引き伸ばし機にふれないように。露光が終わるのを静かに待ちます。
(3)プリントの完成
・現像(90秒)、停止(30秒)、定着(2分30秒)、水洗い(5分)きっちりと処理します。
・洗濯挟みなどで吊して十分乾燥させます。
・化粧裁ちする場合は、明るい部屋でまとめてやった方が効率がいいです。
簡単に引き伸ばしプリントの手順を説明しました。あくまでも私のやり方ですので、違っている箇所があるかもしれません。が、これでモノクローム写真の(一応)完成です。
※フィルムに埃がついていた、ネガの乳剤はがれとかでプリントに白い跡がついている場合、スポッティングする場合もあります。スポッティングについては別の項でご説明します。

今作った写真は、ネガをそのままプリントした「ストレート焼き」です。思い通りのプリントが得られればストレート焼きで十分です。
何枚かプリンとしているうちに、どんなネガが焼きやすいか(ストレートに焼いていい結果が得られるか)も分かってくると思います。
※プリントにはネガづくりも結構重要なのです。

基本はストレート焼きですが、部分的に濃度を上げたい、下げたいっていうのはあると思います。実はこれからが引き伸ばしプリントのもう一つの楽しみなんです。
ストレート焼きをベースにして、トリム、覆い焼き・焼き込みなどのテクニックを駆使して写真を思い通りに作り込んでいく…。
モノクロームプリントは奥が深いです。
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